地殻の隆起や海面上昇により、場所によって様々な表情を見せる三陸海岸。世界三大漁場にも数えられる『三陸沖』で獲れる海産物も見逃せません。
三陸海岸とは
一般的には、青森県八戸市の鮫角から宮城県石巻市の万石浦までの海岸線を指します。「三陸」という名前は、かつての陸奥国、陸中国、陸前国の3つの国からきており、現在では、三陸というだけで三陸海岸を指すことが多くなっています。岩手県宮古市より北側では、陸地が大きく隆起し海岸段丘が発達しています。この段丘崖が波の浸食によって削られ鵜ノ巣段丘などが形成されました。宮古市より南では海面上昇により、入り組んだ海岸線と水深の深い入り江が特徴のリアス式海岸となっています。こういった特徴的な地形が多く見られることから、三陸海岸はジオパークにも登録をされています。
三陸海岸への行き方、アクセス
東京から東北新幹線にて一ノ関駅(岩手県)もしくは、八戸駅(青森駅)へ。そこからは、JRの在来線や三陸鉄道など乗り継いでの観光、もしくは、レンタカーを借りての観光となります。
<東北新幹線の移動時間>
東京駅⇔一ノ関駅 約2時間30分
東京駅⇔八戸駅 約2時間50分
時間をかけてゆっくり巡りたいという方は、列車の旅がおすすめです。効率よく巡りたい方は、レンタカーを借りると良いでしょう。
三陸海岸の見どころ、お勧め観光スポット
気仙沼漁港・魚市場
三陸海岸の特徴の一つであるリアス式海岸の深く入り組んだ湾に作られた港。寒流と暖流がぶつかり合うゆたかな漁場「三陸沖」に向かう漁船の基地として機能しており、多くの漁船が停泊する姿が望めます。また、近隣には水揚げされた海産物を加工する企業も多く集まっています。カツオやサンマ、マグロなど様々な魚が水揚げされますが、フカヒレの原料となるサメの水揚げが多いのも特徴です。
碁石海岸
岩手県大船渡市の末崎半島島南端約6kmの海岸線を指し、国の名勝及び天然記念物や国立公園に指定されています。また、三陸ジオパークのジオサイトの一つであり、リアス式海岸の景勝や地殻変動の形跡などをみることができます。また、碁石浜では、黒色の石が海岸線に敷き詰められています。この石は、黒色泥岩と呼ばれる種類の石で、碁石の原料として使用されたことから、浜や海岸線の名前となりました。
浄土ヶ浜
岩手県宮古市の三陸復興国立公園、三陸ジオパークの中心に位置する浄土ヶ浜。日本を代表する景勝地の一つです。今から約5200万年前に形成された火山岩からできた入り江。白い岩と小石、緑が美しい松、そして青く輝く海のコントラストが非常に美しい景観を生み出します。白く輝く火山岩は、流紋岩と呼ばれる岩石。長い年月をかけた浸食作用で鋭く尖った形が特徴的です。宮古山・常安寺の霊鏡竜湖和尚がこの景色を眺め「さながら極楽浄土のようだ」と感嘆したことから名がついたといわれています。
北山崎断崖展望台
岩手県田野畑村にある三陸海岸を代表する景勝地。陸地が大きく隆起したことからできた海岸段丘で、高さ200mもの断崖、浸食により形成された奇岩・怪岩、大小様々な海蝕洞窟など、ダイナミックな海岸線が約8kmにもわたって続きます。また、季節によっても見せる顔を変え、春には若々しい緑、夏にはやませの霧に霞む海、秋には紅葉、そして冬には真っ白な冬化粧がみられます。
ゆっくり流れる時間と景色を楽しむ、鉄道旅
活躍する第三セクター、三陸鉄道
岩手県の海岸線を縦貫する鉄道。1896年の三陸地震の際に、陸の孤島と化したことを踏まえ、復興策のひとつとして建設が始まりました。しかし、国鉄の経営悪化から建設の中断・路線廃止を経て、第三セクターが運営をする現在の形となっております。海と地形が織りなす絶景を眺めながら、ゆったりと旅するのが魅力。テレビドラマで取り上げられたことから聖地巡礼のスポットにもなりました。三陸の魚介を使ったお弁当などがセットになった列車や冬季限定のこたつ列車など、企画列車も楽しみの一つです。2011年の震災により甚大な被害を受けたものの、地震発生から5日後には一部区間の運行を再開させるなど、復興のシンボルとしても活躍しています。
※企画列車の運行は不定期です。詳しくは、三陸鉄道のホームページをご確認下さい。
期間限定運行!SL銀河
海岸からは離れることにはなりますが、文学好きの方は見逃せないのがこの列車。岩手県が生んだ作家、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフに誕生したこの列車は、花巻と釜石を結びます。大正ロマンを感じる車内で過ごし、舞台となった釜石線沿線を旅することで、宮沢文学に入り込んだような気分を味わえるかもしれません。
※運行は不定期です。詳しくは、JR東日本のホームページをご確認下さい。
東日本大震災遺構 後世に伝えていく場所
奇跡の一本松(岩手県)
岩手県陸前高田市の高田松原跡地に立つ松の木。元々は、350年にわたり植林されてきた約7万本もの松が茂っており、国立公園や日本百景にも指定されるような景勝地でした。しかしながら、津波の直撃を受けてほとんどの松はなぎ倒されます。そんな中で、松原の西端辺りに生えていたこの松だけが津波に耐え、立ったままの状態で踏みとどまります。そんな姿が、震災からの復興への希望を象徴する姿としてとらえられ、『奇跡の一本松』と呼ばれるようになります。根が腐り枯れてしまったことから、現在は幹を防腐処理し復興を象徴するモニュメントとなっています。
南三陸町震災復興祈念公園(宮城県)
気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館(宮城県)
東北はもちろん、日本全体に様々な被害をもたらした震災の記憶と教訓を後世に伝える施設。気仙沼では、地震によって引き起こされた大津波とその後の火災により、死者1,143人、行方不明者212人という最大級の悲劇がもたらされました。元々、気仙沼向洋高校の校舎として使用されていた建物を被災当時の姿のまま保存、ありのままの姿を残します。津波の恐ろしさをストレートに感じることとなります。予約が必要となりますが、語り部の方々のお話しを聞くのも貴重な経験となるでしょう。
海の幸の宝庫、三陸の海鮮料理を堪能
三陸の名物料理といえば、豆腐田楽や気仙沼ホルモンなどが有名ですが、絶対に外せないのが海鮮料理。世界三大漁場に数えられる三陸沖は、親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかり合う潮目があることに加え、リアス式海岸や小さな島々が魚の住処となり多種多様な魚介類が水揚げされます。中でも牡蠣やホタテ、ウニ、わかめなどは特に有名です。訪問した際には、是非ご賞味下さい。
営業時間 10:00~17:00(土日祝除く)